満遍なく勉強する、は危険!

大学入試改革が話題になっていますが、英語4技能への対策の懸念などが学生からよく聞かれます。

ただ、「自分の志望校がどのような能力を要求しているか」の確認を必ず行ってほしいです。大学に合格する秘訣は「全体的な学力の高さ」ではなく「大学が求める能力にフィットした学力」です。

 

大学入試全体としては英語4技能を重視していますが、大学によって求められる英語力は異なります。英語外部認定試験の導入は延期になりましたが、そういった試験での学力を要求する大学もあります。例えば私の母校である立教大学は、一般入試における英語の試験を廃止して、外部試験や共通テストの英語の点数で学力を測るようになります。

「実践的な英語力」を重視する大学は、一般試験でリスニングなどを行うのが難しいため、このように外部試験や共通テストのスコアを重視する傾向にあると言えます。

その場合、スピーキングやリスニングの能力は、帰国子女など幼少期から英語に慣れ親しんだ者が圧倒的に有利です。そのことに不満を言う学生もいますが、私はその不満は見当違いだと考えています。

というのも、例えば低身長だけれどもバレーボールが好きな人がいるとして、「みんな高身長なのは卑怯だ」と言ってたらどう思いますか?当然ながらバレーボールは高身長の人が有利なスポーツなので、「卑怯」などではなく「才能」と考えられます。それは、バレーボールという種目が高身長の人を優秀だと認め、求めているからです。同様に、「実践的な英語力」を求める大学がスピーキングやリスニングが得意な人を優遇するのは当然なのです。

かなり多くの人が勘違いしている印象があるのですが、大学試験というのは「公平」であっても「平等」ではないです。

大学というのは本来、学生たちが得意なものを探求するための高等教育機関です。学生が探求したいものと、大学が提供したいものが違うのであれば、その大学に行くことはよい判断とは言い難いのではないでしょうか。4技能全てのスコアを求める大学もあれば、旧来のようにリーディングやライティングを重視する大学もあります。大学名だけに踊らされず、自分が得意とする分野で勝負できる大学を選びましょう。そのほうが結果として、偏差値の高い大学に進学できますし、勉強の負担が一層楽になります。

「国公立志望なら全教科いるじゃないか」という声もありますが、国公立においても共通テストや二次試験の配点は大学によって大きく異なります。指導経験から申し上げると、国公立志望で科目が多いからと言って具体的な戦略を立てずに猪突猛進で勉強している人は大抵伸び悩みます。というのも、国公立を意識しすぎて配点の低い科目まで満遍なく勉強してしまい、重視される科目が伸び悩むからです。脳科学的な観点から考えても、満遍なくやるよりも得意科目を突出させてから他の科目へ学習方法を転用させたほうが効果的だと言えます。

現代社会においても、テクノロジーの進歩によってマルチな能力を持つ人よりも、一点において突出した人が重要視されてきています。というのも、マルチな人の程度の能力では、部分的には突出していないためほかの人やモノで代替可能であり、遠くない将来にAIに置き換えられるからです。要するに、AIにもマネできないくらいの能力を一点突破で身につけることが大切だということです。社会において、会社や顧客が求めるのは「あなたの強み」であって、「弱点がないこと」ではないです。仕事というものは価値の提供であり、価値とはスペシャリティの中にあるのです。自分は何が得意か、何を伸ばせるかを選んでそこに注力する。いわゆる、「選択と集中」が必要なのです。その前段階として、大学受験においてもマルチではなく得意を活かす戦略立てをしましょう。

ComSのフルプランにおいては得意な科目、進みたい進路などを踏まえて、大学の過去問や入試予告などから分析して進路指導を行います。学校やニュースの言葉だけを鵜呑みにせず、自分にとって最善の受験プランを共に考えていきましょう!

 

本日のポイント

・志望校が求める能力を調べて、そこに注力した学習を行う

・志望校選びの際にも、大学名ではなく自分の強みを最大限活かせる学校や学部の選択が大切

・これからの時代に必要なのはマルチな能力ではなく、特化した能力