皆さん、勉強の合間にスマホを触りますか?
おそらくほとんどの学生たちが、休憩と称してSNSを開いていることでしょう。
今回のタイトルから分かるように、これは絶対に避けるべきです。
Facebook and texting made me do it: Media-induced task-switching while studying
2013年の実験なので”Facebook”という言葉が論文のタイトルに使われていますが、SNS全般と考えてよいでしょう。
この実験では、小学生から大学生の263名を対象に、15分間、自宅で勉強してもらいました。
そこではパソコンなどの電子機器が使える状態で、それらが使用されたかどうかを計測できるようにしています。
すると、被験者は平均して、「最初に始めてから6分も勉強を続けられなかった」という結果になりました。
さらに、このようにしてパソコンをしたり、勉強以外のことをする人の中でも「SNSにアクセスした人」は特に成績が悪い傾向にあるということがわかりました。
どうですか?
みなさんは、パソコンよりもSNSを開くのが簡単なスマホを持っています。
つまり、この実験時よりもSNSへの依存傾向が高いことは間違いないのです。
さて、ここから「なぜ勉強の合間にSNSを開くと成績が下がるのか」について個人的な見解を書いてみます。
まず第一に、「勉強もSNSも視覚情報であるため、記憶の保存領域が重なっているから」
という理由が考えられます。
何度かブログで解説してきましたが、人間は視覚に頼って生きているので1日に膨大な量の視覚情報に触れます。
それらをすべて覚えると脳は数時間もあればパンクすると言われており、ほとんどの情報は忘れるようになっています。
SNSという視覚情報が増えた分、勉強で得た視覚情報は忘れられやすくなっているということです。
第二に、「勉強よりもSNSの内容の方が好奇心をそそる」からです。
興味があるものや危険なものなどに接するとき、脳内の「偏桃体」という部位が活発に動いて長期記憶に残りやすくなります。
感情が動くものは記憶に残りやすいということです。
趣味の知識が膨大に増やせたり、美味しいパフェが食べれるカフェの内装をしっかりと覚えているのは偏桃体が活発に動いているためです。
さて、みなさんは勉強とSNS、どちらが好きですか?
当然SNSですよね。
例えばインスタは、好きな人や友達をフォローし、その人たちの投稿を見るものですよね。
ということは「自分好みにカスタマイズされた情報」しか出てこないんです。
夢中になって当たり前なんですね。
だから勉強の合間にSNSを開くことによって、直前に勉強していたことよりもSNSでの
情報に脳が優先され、結果として勉強が記憶から消えやすくなる。
SNSを開いた瞬間に忘れるということではないですよ。
勉強が長期的に記憶に残りにくくなるので、結果として成績が悪くなるということです。
また、実験とは異なりますが「寝る前のスマホ」も絶対に避けなければいけません。
寝る前に得た情報は最も記憶に残りやすいとされているので、SNSやYouTubeを見てしまったらその日の勉強なんて1週間もあればほとんど忘れてしまいます。
そもそも、睡眠の質が下がるので絶対にNGです。
みなさんはスマホを「誰もが持っている便利ツール」程度にしか思っていないんじゃないでしょうか。
いやいや、スマホは麻薬やギャンブル、酒、たばこに匹敵する中毒性を持っている物なんですよ。
事実、私たちが使っているiPhoneを作ったスティーブ・ジョブズをはじめとして、GoogleやFacebookのシステムエンジニアなどは「自分の子供にスマホを持たせない」という人が多いです。
とはいえ、スマホなしでの生活はもはや難しいでしょう(その時点で依存状態なんですが)。
なのでせめて、SNSは使う時間帯を決めましょう。
オススメは「勉強の前」と「朝」です。
寝る前に復習をするなら、その前でも良いかもしれません。
SNSで奪われる時間は、「今」だけじゃなくてみなさんの「未来」にまで大きく影響していることを忘れないでおきましょう。
参考文献:Rosen, L. D., Mark Carrier, L., & Cheever, N. A. (2013). Facebook and texting made me do it: Media-induced task-switching while studying. Computers in Human Behavior, 29(3), 948–958.