高校生が読むべき本とは?読書の重要性について

受験生に限らず、本を読むことはとても大切です。インターネットが普及し、You Tubeで分かりやすく説明してくれる現代においても、本はインプットする際に欠かせないものと言えます。逆を返せば、動画やネット検索で引っかかった程度の知識では社会に太刀打ちできません。なぜ本を読むことが大切なのか、また、大切なのは分かったけども何を読めばいいのかについて説明します。

「本は大事!」と言っておきながら、私自身は高校時代まったく本を読まない学生でした。小さいころから本を読むならおもちゃで遊んだりゲームをするのが好きで、高校時代に読んだ本は片手で数えられる程度だと思います。文学部を専攻したのも単に「フランスに住みたかったから」だけで、もともと理系科目が好きだった私にとって最も遠い選択だったかもしれません。とはいえ、大学に入ってからは授業のためにも本を読むことは避けられず、主に小説を必死に読んだものでした。

そんな大学時代に「読書はなぜ大切だとされながらも避ける人がいるのか」という疑問を持ち、分析してみました。例えば、漫画や映像は多くの人が好みますし、学力に関係なく愛されています。しかし、活字は誰もが受けいれられるわけではない。自分なりの結論としては、「映像は画像が連続していて動画になり、音も付いているので『想像』する必要がない。対して活字は画像ですらなく、音もない。すべてが脳内での『想像』を通しての体験になる。つまり、『想像』する力が弱い=活字を映像などに変換するような脳の使い方に慣れていない人は活字を読むことがしんどい」というものでした。小説を読むとき、人はその文章から情景をイメージし、そのイメージを楽しんでいます。単純に労力が必要ということです。漫画は映像と本の中間に位置し、絵で表現してくれているのでキャラの特徴などは見たままで楽しめますが、コマとコマの間は想像が必要になります。漫画は適度なアシストによって、誰でも楽しみやすいということです。また、週刊少年ジャンプのワンピースなどに代表されるバトル漫画は、戦闘シーンがコマで切れることによって物理的な速度を超えた速さを想像で作り出すことができ、アニメになると「時間」という制限によって物理的な速さを超えられず、臨場感に欠けるということも考えました。

この、「本、漫画、映像」の違いは思春期の脳を鍛えるにあたって非常に重要な要素です。近年、「アクティブ・ラーニング」が注目されていますが、その特徴は主に2つです。「想起」つまり、思い出すことと、「精緻化」です。「精緻化」とは、物ごとを整理したり自分なりに解釈することで、「要するに」と話しをまとめたり、日本史の教科書から情景を想像することも含まれます。読書は、この「精緻化」を要する作業なので非常に脳を使うのです。頭がいい人は本を読んでいることが多いと言われますが、本を読んでいるから精緻化能力が鍛えられて勉強も整理しながら脳内に収められていると考えるほうがいかもしれません。スマホによって便利になり、映像や漫画がいつでも見れるようになりましたが、それだけにかまけていると脳が衰えてしまいます。当然ですが、脳も身体の一部なので使わないと弱くなるのです。読書は、脳科学的にも根拠のある、脳のトレーニングということです。

 

さて、読書の重要性が分かったところで、何を読めばいいのかという疑問が浮かびます。世の中には小説だけでなくさまざまなジャンルの評論や雑誌など、活字といってもジャンルは多岐に渡ります。「AIに仕事が奪われるらしいから、そういう本読んだほうがいいのかな」とか、「株の本とか読んでリスクに備えたほうがいいのかな」とか、考える学生も増えているかもしれません。私の考えとしては、「ほうがいい」と思って読む本は身につきにくいし時間を損失する可能性が高いから読む必要はないです。私自身、30歳になる前ぐらいから脳科学やテクノロジー、デジタルイノベーション、行動経済学、マクロ経済学、マーケティング、マネジメント、自己啓発、健康関連など、いろんなジャンルの本をむさぼるように読むようになりました。その理由は、独立するうえで必要だと感じたからです。そして、今の学生たちに必要な、学校で学べない知識だと考え、伝えていこうと思ったからです。そうして読んだ本の内容は、一発で記憶に残り、当時の学生たちに後退りさせるような勢いで話してきました(笑)ここで伝えたいのは、「知識は必要になったら時に学べば入る」ということです。逆に、必要性を感じずに読んでも脳内で整理できず、理解しづらいでしょう。なので、「読むべき」と思ったり言われた本は、本当に読みたいわけでなければ読まないほうがいいです。

私のオススメは小説です。大人になっても脳は鍛えられますが、幼少期から思春期のうちに大きく成長するため、その間にしっかりと使って鍛えることが大切です。知識を蓄えるような本は大人になってからでも構わないですし、脳を鍛えて知識を蓄えるコツをつかんでからの方が良いでしょう。

小説のなかでも、『ハリー・ポッター』シリーズのようなSF小説や推理小説は特にオススメです。SFの世界は私たちの日常とは異なるので、情景をイメージするだけですごく脳に刺激を与えます。『ハリー・ポッター』の場合は、映画もあるので自分の想像と重ねながら映画を見るのも楽しいかもしれません。推理小説は、犯人を予想したりする楽しみがありますが、犯人の予想の根拠を論理立てて考えることで論理的思考能力が鍛えられるかもしれません。日本を代表する作家の東野圭吾さんや海堂尊さんは素晴らしい推理小説を書いていますが、大学ではそれぞれ工学部と医学部という理系を専攻しています。理系的な論理的思考能力を推理小説に活かしているから、誰もがひきつけられるような面白い作品が生まれているのかもしれません。

 

本日のポイント

・活字は全てイメージしなければいけないので、脳を鍛えるのに効果的

・「読んだほうがいい」と思う本は、今読まなくていい

・高校生が脳を鍛えるなら、SF小説や推理小説がオススメ!